PROJECT

資源リサイクル事業

製鋼原料グループ|2017年入社

福井 優里Fukui Yuri

※個別連絡による業務の妨げを防ぐため、仮名にて掲載しております。

トレーディングの仕事は「信頼」から始まる。
だから誠心誠意、自分の役割を果たしていく。

PROJECT

01

海外のインフラ構築を
支える仕事。

「鉄は国家なり」という言葉がある。
鉄という材料は、道路や橋、建築物、交通など、国のインフラを構築する上で必要不可欠なもの。あらゆる産業を支える材料としての重要性を言い表したのがこの言葉だ。日本はもちろん、現在急速に発展を遂げる国々においても、製鋼業は国の基幹産業としてきわめて重要な役割を果たしている。
そうした国々の発展を、原料の輸出という形で支えているのが、福井が所属する製鋼原料グループだ。韓国を中心とした東アジアの国々、そして経済発展がめざましい東南アジアの国々に向け、鉄の材料となる鉄スクラップの輸出を行っている。
「私が主に担当する輸出先は台湾とインドネシアです。たとえばインドネシアは今、めざましい経済発展が続いていて、新しい製品が次々に生まれています。そうした国の発展に欠かせないのが鉄という資源です。原料の供給を通して製鋼業というインフラ構築に貢献することに、大きなやりがいを感じています」
状況に応じたフットワークの良さが求められるのが、福井たちの仕事だ。担当国である台湾やインドネシアにも、機会があるごとに足を運ぶ。現地を訪れる一番の目的は、そこでしか得られない「生きた情報」を得ることだ。その国で今どんな産業が伸びていて、どんな製品が売れているのか。鉄鋼の需要を左右するそうした情報を得るために、顧客や現地のブローカーなどさまざまな人から話を聞き、自分の足で街を歩く。ビジネスのヒントは現場にある。その原則は、世界のどの国においても変わらないものなのだ。

PROJECT

02

「トレーディング」
というビジネスの奥深さ。

福井が所属する製鋼原料グループの特徴は、「トレーディング」の業務に特化していることだ。トレーディングとは、ある商品の需要と供給を結びつけ、両者の間に立って収益を得るビジネスである。「売りたい」という人から買って、「買いたい」という人に売る。構図はきわめてシンプルだが、商品の相場が絶えず変動する中でそれを行うことに難しさがある。
「鉄スクラップの価格が今後上がりそうなのか、下がりそうなのか。専門用語で『ポジションの運用』というのですが、今後の相場をどう読むかによって取るべきポジションが変わります。当然そこにはリスクがあり、リスクを張る代わりに収益を稼ぐことができるわけですが、相場を読み間違えると損が出てしまいます。そこが、相場商品を売買する難しさです」
と説明するのは、福井の上司である山岸だ。製鋼原料グループは先述のようにアジアのさまざまな国でビジネスを展開しており、「どの国に売るか」という選択自体も重要な判断のポイントとなる。販売する国、タイミング、価格、条件……。あらゆる点を考慮に入れ、いかに利益を最適化するか。営業担当者の判断が、トレーディングの成果を大きく左右する。山岸はこう続ける。
「私たちの仕事には常に緊張感が伴います。仮にある国で紛争などが起きると、鉄スクラップの価格はものすごく暴騰するんです。下げ基調だと見込んでいる時に価格が暴騰したら大きな損が出ますよね。そういう怖さが常につきまとう仕事です。だから、常に幅広い情報を取り入れ、世界中のニュースを常にチェックする必要があります。反面、そうした大変さがあるからこそ、自分の狙い通りに収益が出た時は大きな達成感があります。私たちの仕事の大変さと面白さ。両方の面を知っていただければと思います」

PROJECT

03

メーカーからの転職。
そこで経験した苦労。

相場商品として、一般の人にとってもっとも身近なものは、株の売買だろう。ただ、株と鉄スクラップには大きな違いが一つある。それは、株の取引では一般的に株券というモノのやり取りは行われず情報のやり取りだけで売買が成立するのに対し、鉄スクラップの売買は必ず形のある商品の動きを伴うことだ。たとえば、ある人が鉄スクラップの売買に興味を持っていたとしても、売り物である鉄スクラップを手に入れることができなければ、そのビジネスに参加することはできない。大事なのはまず、物としての鉄スクラップを確保する力。つまり、「仕入れる力」が必要とされるのだ。
「私たちが鉄スクラップを仕入れる相手は、解体事業者や自動車を中心とした工場のお客様です。私が豊通マテリアルに中途入社して営業の仕事に就いた時、一番苦労したのがお客様との関係づくりでした」
そう福井は振り返る。転職前の会社でも相場商品を扱う仕事をしていた福井にとって、商売の進め方自体は既知のものだったが、鉄スクラップを扱うのは初めての経験だった。最初は専門知識が求められる場面で思うような対応ができず、仕入れ先から満足に取り合ってもらえないこともあった。そればかりか、「何しに来たの?」とストレートに突き放されたこともある。そうした出来事があった後、彼女が意識してきたのは、とにかく何度も足を運んで仕入先の信頼を獲得すること。アポイントを取って必要な情報を交換するという営業活動の基本を繰り返し、少しずつ顧客との関係を築いていった。

PROJECT

04

与えられる裁量の大きさ。
責任の大きさ。

地域の事業者をまわって地道な交渉を重ねて関係づくりを行う、ある意味での泥臭さ。
それと同時に福井が痛感したのは、ビジネスのあらゆる場面で求められるスピードの速さだったという。
「売るか売らないか、買うか買わないか、という判断を常に求められるのが、私たちの仕事です。以前の会社にいた頃と一番違いを感じるのが、そのスピード感です」
たとえば、スクラップの相場が下げ局面に入った時。最終的にどこまで価格が下がると考えるかによって、妥結できるポイントも変わってくる。「この価格で売りたい」と伝えても、顧客からは「あと5ドル下げてほしい」と言われることもある。そうした場面でどう返答するべきなのか。判断を保留することも可能だが、それによってビジネスチャンスを逃してしまうこともある。瞬時の判断こそが、トレーディングの難しさであり醍醐味でもあると言える。
そして、製鋼原料グループの大きな特徴は、かなりのレベルまで担当者個人に裁量が与えられること。事前にグループ内で打ち合わせた範囲内であれば、「この金額で売る」という判断を自分一人ですることができる。そうした部署の風土について、上司の山岸はこう語る。
「うちの部署は、社員一人ひとりの業務の自由度が大きい部署だと思います。もちろんそれは、誰に対しても認められることではなく、彼女の仕事ぶりが信頼されているからこそ認められることです。『福井ならできる』と思われているからこそ、仕事を任される。今後も自分らしさを活かしてそのまま頑張ってほしいですね」
仕事において福井が大切にしているのは、何に対しても一生懸命、誠心誠意取り組むこと。誠意のある姿勢は、住む国や使う言語が違う相手にも必ず伝わるものだ。この人であれば、きちんと品質の保たれた商品を、約束通りの納期で納めてくれるはずだ。そうした信頼を得られなければ、トレーディングというビジネスで生き残っていくことはできない。また同時に、社内における信頼関係も不可欠だ。多くの国を相手にしたビジネスを限られた人員で行うためには、お互いに助け合える関係がどうしても必要になる。助け合える関係があれば、必ず何らかの形で成果につながる。社内外の信頼をベースに仕事の成果を追求していく日々の充実感が、福井の原動力になっている。

pagetop